夏の星座

夏の星座は、春の静かさはなく、明るい星が多くなります。 なんといっても、夏の大三角形でしょう。 こと座のべガ。わし座のアルタイル。白鳥座のデネブ。

この3つの星を結ぶと有名な夏の大三角形ができます。 南の空には、さそり座が目に付きます。 とにかく、夏の夜空はにぎやかです。

七夕といえば、7月7日ですが、昔は太陰暦という、月のはじめが新月という暦でしたが、現在は太陽暦になっています。ですので、現在の七夕と昔の七夕は、違う日になるのです。

また、現在の7月7日は、彦星も織姫星も、北東に低く、晴天率(その日が晴れる確立)が20%程度と低く、七夕の日にはれた夜空を見れることがむずかしいのです。

それだけに、彦星と織姫があったとき(キレイな夜空が見れたとき)の感動はよりいっそう大きいものでしょうね。

こと座

小さな星座ですが、夏を代表する星座の一つです。 こと座は有名なべガを持っています。

べガは全天で5番目に明るく、夏の星達の中では最も明るく輝いています。
このべガは、日本では、七夕の『織姫星』とも呼ばれています。

べガは青白く美しい事でも有名です。ギリシア神話では、哀切な物語が伝えられています。

昔、オルフェウスというすばらしい音楽家がいて、神も人も動物もその琴の美しい調べに聞きほれてしまう程でした。

そして、オルフェウスが美しいエウリディケを妻にしたのですが、まもなくエウリディケは死んでしまいました。

オルフェウスは亡きエウリディケを生き返してもらおうと思い、死の国へ向かいました。

そして、死の国の王ハデスに妻のエウリディケを生き返してほしいと琴をかき鳴らして頼みました。

さすがの死の国の王のハデスも、その琴の美しさに心を動かされ、生き返すことを承諾しました。

ただし、それには条件があり、死の国から地上までの間は決して、後ろを振り返ってはならないというのが条件でした。

そして、死の国から帰ってきて、7,8割を越えてしまった所でオルフェウスはエウリディケの足音が聞こえないので、おもわず後ろを振り返ってしまったのです。

そのとたん、恐ろしい叫び声とともにエウリディケが闇の中に引きづり込まれてしまったのです。

そして、二度とエウリディケの姿を見ることはできなくなってしまったのです。

その後、オルフェウスは亡き妻の面影を求めて、さまよい歩きました。ある日、祭りに深酔いした女達に殺されてしまいます。

主を失った琴は、主をともに川に投げ捨てられたのですが、大神ゼウスがオルフェウスを惜しんで、その琴を星座の中に加えたと言われています。

はくちょう座

夏の代表的な星座の一つです。大きな十字型が特徴的です。南半球の有名な南十字星に対して、北十字星と呼ばれることもあります。

はくちょうの尻尾の部分には、1等星デネブがあります。 ちょうど、七夕の恋人同士である、べガとアルタイルの橋渡しをしているように 雄大な十字形をしています。

ギリシア神話では、いくつかの説があるようなのですが、 ひとつには大神ゼウスが化身した姿だと言われています。

ギリシアのスパルタの王妃にレダという、絶世の美女がいました。 大神ゼウスはこのレダを見そめて、愛の女神アフロディーテに助言を求めました。 そして、ゼウスが白鳥になり、鷲に変身したアフロディーテに追われた振りをして、 レダの元に逃げていきました。

その白鳥をかわいそうに思ったレダは白鳥を優しくかくまい、 その白鳥が去ったあとに、レダは双子を産みました。

それが、ふたご座のカストルとポルックスだということです。

わし座

夏の星座の代表的な星座です。アルタイルという1等星が有名です。

また、アルタイルは、わが国では『ひこ星』。 または『けん牛星』として、知られています。 アラビア語の『アル・ナスル・アル・タイル』(飛ぶ鷲)から取られています。

ギリシア神話では、大神ゼウスが変身した鷲の姿だと言われています。

トロイアという国の王家の王子ガニメーデスが 非常にりりしく美少年だったのを気に入って、 鷲の姿になり、トロイアの王宮からガニメーデスをさらってきたと言われています。

ちなみに、ガニメーデスは、みずがめ座となって、秋の空に輝いています。

さそり座

さそり座は暑い夏の南の空に輝いています。

さそりの心臓部分に当たるアンタレスは、非常に明るく赤く輝いています。

アンタレスという言葉は、ギリシア語では、『火星の敵』という意味で、 その赤いアンタレスが、火星とお互いの赤さを競っているかのように 見えることからその名がつきました。

ギリシア神話では、巨人オリオンが、『全世界に自分ほど強いものはない』 と豪語したので、 それに怒った女神ヘラが彼を戒めるために、毒さそりを放して、 オリオンは毒さそりに刺されて死んでしまいました。

そのさそりが、天に上げられてさそり座になりました。

そして、さそり座が昇るころには、オリオンは決して現れません。

さそり座にまつわる話

また、さそり座には、こういう話も残っています。

昔、あるところにさそりがいました。 さそりは、それまで昆虫や蝶や小動物を食べて、命をつないで生きてきました。 しかし、あるとき、天敵のいたちに見つかってしまったのです。 さそりは、逃げました。

いたちは、さそりを食べようとして追ってきます。 さそりが食べられるまさにその時、目の前に井戸がありました。 さそりは、その中に落ちてしまいました。

泳げるわけもなくさそりは溺れながら、死を悟ったのです。 そして、こう思いました。

『 自分は、今まで生きるために何百という生き物を殺して、食べて生きてきた。
 だが、今度は、自分が食べられる立場になるとどうだろう?   
逃げ回って、あげくの果てに井戸の中に落ちて死んでしまう。   
なんと、自分は身勝手で、無駄なことをしてしまったんだろう。  

もし、いたちが自分を食べれば1日は生きられただろう。
今度生まれてくる時は、本当のみんなのために生きよう。  』 

そのさそりに感動した神ゼウスが天にあげたということです。